大学院生の英語勉強記

現役大学院生による院試や日常、そして英語勉強のブログ

大学院進学について ⑤大学院試験対策について(専門試験)

 

 

今回は一番重要だと思われる院試の対策、特に専門試験について書いていこうと思います。英語試験と二次試験の面接についてはまた別記事に書きます。

前回の記事は

 

snoozemin.hatenablog.jp

 こちらから読んでいただけます。

院試の試験対策は私がブログをはじめようとおもったきっかけでもあります。

前回にお話ししたように私は院進について多くをブログから学びました。というのも私がいた大学に院生はほとんどおらず試験内容もほとんど参考にならなかったためです。教員の多くも院進指導、院生指導をあまりしたことがない方が多かったためあまりあてにもできませんでした。

しかし、ブログの多くは東大や京大といった旧帝大を含むかなり上の大学院の対策について書かれているものが多いと感じました。特に理系の院進対策が多く、文系かつ地方国公立の大学院への進学についてはほとんど目にすることはありませんでした。

そのためそういった方に向けた記事を書くのもおもしろいのではと思い今に至ります。

 

前置きが長くなりましたが、本題に入っていこうと思います。

私は二つの大学院を受験しました。一つは某地方国立大学、もう一つは某公立大学です。どちらも無事合格をいただいてます。なぜずっと名前をぼかしているのかについてはお察しください。文系では地方の難関大学、とはいえ今では定員割れするぐらい院進する学生が少ないのが現状です。そのため大学の名前を出してなにか迷惑がかかるとまずいのでぼかしています。コメントかメールをいただければ大学名もお答えしますし選考についてももちろんお教えします。試験対策等についてもアドバイスしますのでよろしければそちらまでお願いします。

一応アドレスは snoozemin@gmail.com です。

 

ではまず①某地方国立大学院からお話ししていこうと思います。

こちらの大学は英語試験がないという珍しい手法で、かつ外部英語試験の結果の提出も必要ありませんでした。「あればだしてね」といった具合。

一次試験は専門試験のみ、二次試験は一次試験と同日に研究計画書をもとにおこなわれます。

こちらは2018年までは在籍教員の専門にそった試験内容だったのですが私が受験した2019年分(令和2年度入学)の専門試験は傾向がかなり変わっていました。

それまでは文化人類学をはじめ、考古学、宗教学、民俗学西洋美術史図像学など様々な分野から出題がなされていました。年によってあまり大きな変更はなく、大問3つほどからなり、大問①ではある概念の説明と具体例、②では絵や写真を基に説明をする、③では10個ほどの専門用語から5つを選び自分なりに具体例を挙げながら説明、定義づけをするというものでした。学部で学んだ内容によってどれが難しく感じるかは人それぞれだと思いますが、過去問をやっていけばなんとかなるものが多いです。

しかし2019年分はかなり傾向が変わっていました。大問が2つだけになり、

大問①では平成30年の文化財保護法改正についてりょいすべき課題を事前に用意された用語を用いながら論じる、といったものでした。

大問②では文化相対主義文化人類学におけるフィールドワーク、グローバリゼーションから2つの用語を選びそれぞれ具体例をあげながら説明せよ、というものでした。

学部時代に文化遺産論や文化財保護法についてよく学んでいたため問題なくとけましたが、試験が始まったとき少し面食らった覚えがあります。

だいたいどの問題もB4用紙を裏表埋めるぐらい書きましたが、裏面の半分ぐらいまでで大丈夫かと思います。

試験の対策としてはまず在籍教員の専門と研究内容を把握することからはじめると良いと思います。それと同時に過去問を入手し、ネットや書籍、論文を参照しながら過去問に出題された専門用語をワードやノートにまとめていく作業もするといいと思います。この作業をやっている、といくつか使えそうな事例や体験談として結びつけることができる内容がピックアップできるかと思います。それもノート等にまとめていくといいでしょう。

金銭的に余裕があれば教員の著書も買ってみるといいかもしれません。特に入門書や初学者向けの本を書いてある方がいれば買っておいて損はないと思います。実際、入学後授業の一環で講義担当者の方がかかれた参考書を購入したところ、院試にでてきた用語や使えそうな内容がかなり含まれていることがわかりました。

 

つづいて②の某公立大学です。

こちらは一次試験は専門試験と英語試験、二次試験は別日に面接という形になります。

私が受験した研究科は新設のところで過去問がなかったのが結構しんどかったです。

当日の専門試験(令和2年度入学分)では大問3つの構成でした。

大問①では平成30年の文化財保護法改正における文化の保存と両立について可能か否かを例を交えながら述べる。

大問②では愛知トリエンナーレの表現の不自由展にみられる、特定の表現に対する二極化した社会的表について、文化資源の活用の在り方を交えながら例を挙げ論じよ。

大問③では都市景観、博物館、非形象的文化の中から一つ選び、持続可能性の観点から社会でどう活かすべきかを例を交えながら述べよ。

とこのような感じでした。大学は違っても業界でのトレンドはあるのだと思います。文化財保護法改正はかなり大きな批評を呼んだのでどちらの大学にも出題されたのだと思います。

試験対策としては過去問がない以上どうしようもなかったのですが、説明会にて細かい知識を問うよりは、大きな枠組みでの概念について問う自由回答型の試験に近いものにするとおっしゃっていたのである程度の対策をすることができました。

日程で言うと国立のあとに公立だったので国立大学のほうの試験対策を引き継いだ感じの対策をしていました。

 

これらを受験するにあたって応用書やいわゆる専門書はあまり読んでいません。4回の春ごろから~入門とかかれた本をいろいろ読み、過去問の用語を索引や目次から調べつつ読み漁るといった感じです。あくまで試験対策であって論文のためではないので一冊を通して読むことは少なかったかもしれません。

これに加えて卒論用に読む資料を試験と関連付けながら考えることもしました。例えば工芸品と相対主義を結びつけるなどです。これであれば、鑑賞としての後天的使用価値をもつ工芸品と、日常で使用されるという先天的使用価値を文化相対主義の概念を交えながら考える、、といったことが可能かと思います。こじつけにきこえるかもしれませんが実際やってみるとんどん考えが膨らんでいき、また考えが明確かつ鋭いものになっていくと思います。どうぜやるなら効率がいいやり方をした方がいいと思いますので。

 

ここからは私が実際に使用した書籍を紹介します。

まずは文化人類学系です。

文化人類学入門(増補改訂版) (中公新書)
 

まず手始めに買ったのはこの祖父江孝男著の「文化人類学入門 増補改訂版」です。親書の中では少し分厚いほうだとおもいますが文化人類学の基礎的な用語や要素についてわかりやすく丁寧に書かれています。ここで取り上げられた事例を実際に院試の際に書きました。文化伝播や文化進化の項目はとてもおもしろく引き込まれるものがありました。

これに加えて買ったのが

文化人類学[カレッジ版] 第3版

文化人類学[カレッジ版] 第3版

  • 発売日: 2011/11/08
  • メディア: 単行本
 

この「文化人類学 カレッジ版」です。私が買ったのは第二版なのですが現在は第三版になっているようですね。医学生向けのようですが内容は純粋な文化人類学です。かなり教科書的ですが、冊子が大きいため読みやすく、また左に用語、右に書かれているのでとてもわかりやすいです。また祖父江さんのほうで取り上げられていなかった行為やモノに関する事柄も解説されています。

また、

文化人類学への招待 (岩波新書)

文化人類学への招待 (岩波新書)

  • 作者:山口 昌男
  • 発売日: 1982/09/20
  • メディア: 新書
 

 

この「文化人類学への招待」も購入し使用しました。こちらでは経済人類学や構造人類学、象徴人類学といったキーワードをもとに文化人類学と隣接あるいは重なり合った学問がどのような目的をもとになにを果たしてきたのかが丁寧に解説されています。~人類学っていっぱいあるけどなにが違うんだ?と思っていた私にはいい一冊でした。

これに加えて宮本常一の「日本文化の形成」や上野俊哉毛利嘉孝著の「カルチュラル・スタディーズ入門」も購入し読んでいました。

日本文化の形成 (講談社学術文庫)

日本文化の形成 (講談社学術文庫)

  • 作者:宮本 常一
  • 発売日: 2005/07/09
  • メディア: 文庫
 

これらは院試に直接関係があるかといわれると微妙ですが、文化人類学を学ぶ上でもいい刺激を与えてくれますし新しい発見があるため知識の幅がかなり増えると思います。

 

続いて考古学ですが考古学はかなり書籍が少ないと思います。 

考古学講義 (ちくま新書)

考古学講義 (ちくま新書)

  • 発売日: 2019/05/07
  • メディア: 新書
 
考古学入門

考古学入門

  • 作者:鈴木 公雄
  • 発売日: 1988/01/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 この二冊しか読んでいません。これでごり押しました。

学部時代に考古学を学んでいない、そもそも考古学が専門の先生がいなかったためどんな本がいいかもわからなかったためとりあえず最近でた北條芳隆著「考古学講義」と古くからある鈴木公雄著「考古学入門」を選びました。

考古学講義のほうでは歴史等はほどほどに最新の手法や現代考古学が目指すものがわかりやすく講義風にかかれています。こちらを読んでいてわからない用語や概念が出てきた場合にしたの考古学入門を参考書として使用してきました。こちらは方法論から概念まで幅広く扱っているため特に不便を感じることはなかったです。もしわからなければネットで調べることも可能ですしね。

 

西洋美術史に関しては

 

いちばん親切な 西洋美術史

いちばん親切な 西洋美術史

  • 作者:池上英洋
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 こちらと

 

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)

西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)

 

 こちらを購入し読んでいました。

上の池上英洋著「いちばん親切な西洋美術史」では美術史の変化とそれを読み解くための見方や手法等がわりと細かく記載されていたように思います。図像や構造等についても院試では問われていることが過去問にものっていたためこういったわかりやすい書籍から手始めをしていました。

下も同じく池上さんの書籍ですがこちらのほうがかなり歴史の深いところまで踏み込んで論じられていたと思います。上の本で前提知識を得てから読むとかなりすっと入ってきますのでセットで読むのをオススメします。

しかしながら結局院試では美術史については問われなかったので(ギリギリ愛知トリエンナーレぐらい)少し残念でした。

 

最後に宗教史ですが、教員の専門が宗教建築もかねていたため建築学も同時に読み進めていました。

 

よくわかる宗教学 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

よくわかる宗教学 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)

 
図説 日本建築のみかた

図説 日本建築のみかた

  • 作者:宮元健次
  • 発売日: 2001/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

参考にしたのはこの二冊になります。

桜井義秀著「よくわかる宗教学」では世界の宗教の歴史や伝播、文化的特性等が社会との関係とともに論じられています。初学者用だと思いますが結構わからない用語が多く出てきたのでそのつどネットで調べていました。

またそれに関連して仏教建築を学ぶため宮元健次著「図説 日本建築のみかた」も購入しました。寺社仏閣はもちろん町屋や城郭も網羅しているので旅行などにも役立ちました。もちろん院試の過去問で問われたことがあった建築空間についても解説がなされていたため有用だなと思いました。

 

 

今回もざっと書きましたが、もっと詳しく知りたい方はコメントかメールをお願いします。できる限りお手伝いはしたいと思っています。

 

次回は英語試験の対策についてお話ししようかと思います。

 

それでは今回はこのへんで

ではでは